ブラウザベースAIエージェントの現状と今後の展望

AIエージェント

近年、ウェブ検索やオンラインタスクの自動化の分野で、AIエージェントが急速に発展しています。特に、ブラウザを用いた自動操作は、ユーザーの自然言語による指示をそのまま実行し、複数の画面やフォーム操作まで行える仕組みが大きな注目を集めています。

本記事では、代表的なエージェント(OpenAI Operator、Convergence Proxy、Browser Use、Auto-GPT/AgentGPT、SuperAGI、Microsoft Copilot(Bing Chat)、Anthropic Claude、ChatGPT+プラグイン)について、仕組みと主要性能(応答速度、精度・理解力、安定性、マルチステップ実行能力)をわかりやすく比較します。


各エージェントの特徴

OpenAI Operator

OpenAIが発表したエージェントで、GPT-4の高精度な指示解釈が特徴です。

  • 仕組み: ユーザーの自然言語指示を受け、タスク分割とブラウザ操作を繰り返し実行。必要な操作ごとにユーザー確認を挟む場合もあり、より安全な動作を目指す。
  • ポイント: 抽象的な指示に対しても柔軟な対応が可能。ただし、操作が丁寧な分、応答速度は中程度となる傾向があります。

Convergence Proxy

イギリスのスタートアップが提供するエージェントで、Generative Tree Searchを用いた先読み戦略が強みです。

  • 仕組み: 将来のウェブページ状態を予測し、木構造を構築。複数のシナリオをシミュレーションして最適な操作を選択。
  • ポイント: 応答速度が速く、複雑なシナリオ(レストラン予約など)でも先読みにより高い成功率を示します。

Browser Use

オープンソースのエージェントで、Playwrightなどの実績あるツールを活用し自律操作を行います。

  • 仕組み: 大規模言語モデル(例:GPT-4)を用いて、タスクを分割・操作・結果観察のループで実行。
  • ポイント: カスタマイズ性が高く、ユーザーが自由にモデルやパラメータを選択可能。ベンチマーク上では高精度が示されており、利用環境に応じた柔軟な運用が期待できます。

Auto-GPT / AgentGPT

タスク自律生成型のエージェント群で、ゴールに向けたサブタスクの自動生成と実行ループを実現。

  • 仕組み: GPT-4/3.5により、タスクの分解から実行までを自律的に行う。
  • ポイント: 連続処理は可能ですが、場合によってはループの暴走や無駄な処理が生じることがあり、安定性面に課題を抱えることもあります。

SuperAGI

複数のエージェントを連携させ、複雑なワークフロー処理を実現するためのプラットフォームです。

  • 仕組み: 各種ツールやテンプレートを組み合わせ、エージェント間のデータ連携やパイプライン処理が可能。
  • ポイント: エンタープライズ向けの柔軟な運用が可能ですが、初期設定や運用の手間が大きい点には注意が必要です。

Microsoft Copilot(Bing Chat)

主にウェブ検索に特化したエージェントで、Bing検索とGPT-4を連携して回答を生成。

  • 仕組み: ユーザーの問い合わせに対して、Bing検索結果とGPT-4による要約を即座に提示。
  • ポイント: 応答速度と安定性は非常に高いですが、自律的なブラウザ操作(購入手続きなど)は実現していません。

Anthropic Claude(Computer Use機能)

長大なコンテキスト処理を得意とするClaudeに、実験的なブラウザ操作機能(Computer Use)を追加。

  • 仕組み: 大容量コンテキストを活かし、複数の操作を連続実行。実際のUI操作にまで挑戦。
  • ポイント: 理論上は何百ステップものタスクも実行可能な潜在力がある一方、現状はベータ版でエラー発生の可能性があります。

ChatGPT+プラグイン

ChatGPTに各種ツール(検索、グラフ作成、要約など)を組み合わせたもの。

  • 仕組み: プラグインを介して必要な情報を取得し、ユーザー単発の指示に応じたタスクを実行。
  • ポイント: 非常に安定して動作するものの、連続的なマルチステップ処理は不得意。情報取得や単一タスク向けに最適です。

性能評価

以下の表は、各エージェントの主要性能(応答速度、精度・理解力、安定性、マルチステップ実行能力)をまとめたものです。評価は各種ベンチマーク結果やユーザーレポート(2025年4月時点)に基づいて、独自にまとめてみました。

エージェント応答速度精度・理解力安定性マルチステップ処理能力
OpenAI Operator中程度(丁寧すぎる場合あり)高い(抽象的な指示も上手く解釈するが、稀にバグ)やや不安定(ユーザー確認で止まるケースも)高い(複数画面に跨る処理が可能)
Convergence Proxy速い(素早いレスポンス)非常に高い(先読み戦略で的確な操作実行)高い(大きな不具合は少ない)非常に高い(複雑シナリオにも強い)
Browser Use中程度(利用モデルに依存)高い(カスタマイズ次第で十分な精度)高い(信頼性の高いOSSツール利用)高い(自律ループでゴール達成が可能)
Auto-GPT / AgentGPT遅め(連続処理ゆえ全体は時間がかかる)中程度(タスク自律生成のためばらつきあり)中~低(ループ暴走やエラー報告あり)中程度(柔軟だが暴走リスク有)
SuperAGI可変(並列処理により高速化可能)高い(ツール統合でさらに精度向上可能)高い(監視・ログ機能で安定運用)非常に高い(複数エージェント間連携が可能)
Microsoft Copilot非常に速い(ほぼ即座の回答)中程度(検索結果ベースの正確さ)非常に高い(商用サービスとして堅牢)低い(自律実行はせずユーザー誘導型)
Anthropic Claude速い(大容量でも高速応答)高い(読解・要約能力が優れている)中程度(Computer Useはまだ実験的)潜在的に非常に高い(数百ステップ実行可能)
ChatGPT+プラグイン中程度(処理内容により変動)中~高(情報取得は正確だが操作系は制約あり)非常に高い(安定した対話運用)低~中(単発タスク内で完結する範囲のみ)

まとめ

ブラウザベースの自動化業務において、それぞれのエージェントは以下のような特徴を持っています。

  • 即応性と精度重視: Microsoft Copilot(Bing Chat)やConvergence Proxyは、素早い応答と実際の操作において非常に高い精度を発揮。
  • 自律的な複雑タスク: OpenAI Operatorやカスタマイズ性に富んだBrowser Use、さらにはSuperAGIが、複雑な複数画面の操作やマルチステップ処理を実現。
  • プロトタイプ・研究用途: Auto-GPT / AgentGPTは手軽に自律エージェントを試せますが、安定性や実行速度に課題が残るケースも。
  • 未来の可能性: Anthropic ClaudeのComputer Useはまだ実験段階ながら、非常に大規模な連続タスクに挑戦するポテンシャルが期待される。


参考文献

  • OpenAI公式ブログおよび発表資料
    (Operatorの機能概要や制御ロジックについて解説)
  • Convergence公式発表および専門メディア(VentureBeat、TechCrunchなど)
  • Browser Use(オープンソースプロジェクト)のGitHubリポジトリと解説記事
  • Auto-GPT / AgentGPT関連のオープンソース解説記事およびQiita投稿
  • SuperAGI公式サイトおよびTech系ブログ記事
  • Microsoft Copilot(Bing Chat)関連の技術解説とユーザーレポート
  • Anthropic Claude発表資料および実験的機能の解説記事
  • ChatGPT+プラグインに関するOpenAIおよび各プラグイン提供元の解説記事

こちらの記事が、各エージェント選定や今後の展望を判断する際の参考になれば幸いです。


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